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ローマ人の物語XII迷走する帝国 / 塩野 七生 [歴史の本]


ローマ人の物語〈32〉迷走する帝国〈上〉 (新潮文庫 し 12-82)

ローマ人の物語〈32〉迷走する帝国〈上〉 (新潮文庫 し 12-82)

  • 作者: 塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/08/28
  • メディア: 文庫


文庫版32-34巻。

タイトルが、どれも的を得ていると思います。
同じような混沌の時代でも、「勝者の混迷」「危機と克服」「終わりの始まり」と。
今回は、まさに迷走。ローマは、どこへ向かっていくのか?

他からの侵攻もないとはいえないけれど(むしろ多いけど)、どちらかというと自ら首を絞めているというか、ローマらしさを捨てていくというか。でも、柔軟に変化してきているローマだから、「ローマらしさ」というのは不都合か。ローマの魅力を失うというべきか。

例えば、ローマの市民権のあり方。
前はあるプロセスを経た者だけが得られた権利が、全ての者(奴隷は除く)に与えられるようになった。
一見、平等でいいことのように思えるが、努力もしないで権利を得られるということは怠惰を生み、以前からの取得者の気力を削ぐ。

そして、いわゆる軍人皇帝時代で、皇帝はめまぐるしく代わっていく。
戦死はともかくとしても、謀殺が多く、味方同士で何しているんだよ~という感じです。
そのまま治世が続けばいいのにと思われる皇帝が、同じローマ人によって暗殺される・・。

軍人皇帝が出てくるということ自体は、当時の状況としてはやむを得ないかなとは思うけれど。
一方、軍人と文官のキャリアを分離してしまった制度は、(以前の皇帝たちのような)両方の能力を持つものが出てこなくなるということで、これまた、ローマの魅力が失われていく原因の一つだと思うのです。
タグ:塩野七生
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