ロードス島攻防記 / 塩野 七生 [歴史の本]
ヨーロッパ対トルコ(キリスト教世界対イスラム教世界)の戦い3部作の2作目。
前作コンスタンティノープルの陥落を皮切りに、勢力を広げていくオスマントルコ。
キリスト教世界の最前線に位置するロードス島が邪魔なトルコは、1522年スレイマン大帝自ら攻略を開始した。
コンスタンティノープルの陥落やレパントの海戦に比べて馴染みが薄い戦い。
そして、トルコ最盛期のスレイマン1世の時代。
聖ヨハネ騎士団が本編の主人公であり、アントニオやオルシーニという騎士たちが活躍するのですが、私的にはヴェネツィアびいきのせいか、ヴェネツィアの建築家マルティネンゴの印象のほうが強いです。
ヴェネツィアとしてはトルコとの関係があるので、マルティネンゴが個人として加わった形となっている。
城砦の改良だけでなく、トルコの掘る坑道を察知し攻撃を防いだりと攻防戦中も活躍。
スパイがいるのでは・・。ユダヤ人の印象が悪くなるなぁ。ちなみに、ユダヤ人は騎士団員としてではなく医師として駐在していた。
聖ヨハネ騎士団も、籠城が続くうちに内部分裂していく。
トルコ側の出す降伏条件も、そんなに悪いものではない。むしろかなり紳士的。
逆に言えば、そうまでしてロードス島を手に入れたいということなのだろうけど。
住民たちは降伏に傾いていく。
騎士団長リラダンとスレイマン1世の会見。
敵ながら、勝者と敗者でありながら、お互いの騎士精神を敬いあい認め合っているところが心地よい。
敗れた後の聖ヨハネ騎士団。放浪の末、マルタ島を与えられる。聖マルタ騎士団となり、新たな城砦を築く。首都の名前には、騎士の名前、ラ・ヴァレッテが名づけられた。
今読んでいる漫画『夢の雫、黄金の鳥籠』に登場するスレイマンの側近のイブラヒムの名前も出てきて、実在の人物なんだぁと驚いていました。
ロードス島の名前は薔薇の島からきているとか。
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