背教者ユリアヌス / 辻 邦生 [国内作品]
ギリシアの学問や文化、ローマの神々を愛する、ローマらしい皇帝。
先入観もあり、ユリアヌス贔屓で読みました。
コンスタンティヌス帝は、キリスト教も1つの宗教として認めただけで、国教にしたのではなかったのではなかったっけ?ミラノ勅令は、全ての宗教を等しく認めただけで、キリスト教を優遇したわけではなかったと思うのだけれど。・・と思っていたのですが、調べてみたらコンスタンティヌス帝も優遇策を採っていたっぽい・・?
コンスタンティヌス帝の死後、エウセビウス司教の駆け引きで、キリスト教優位が定着した感がある。官僚がキリスト教徒でないと疎外されるような・・。逆に、官僚になるためにキリスト教徒になる的な。政治というか、権力の道具に使われているような感じ。
ユリアヌスもその辺りに嫌悪を表しているように思います。
ユリアヌスは、優遇策を否定しただけで、キリスト教自体を認めていないわけではない。
背教者、と呼ばれるのは、キリスト教世界からみてのこと。と思っていましたが。
ユリアヌスも貧しい人々の中に見る助け合いの精神を評価し、洗礼も受けている。
その上でのギリシア・ローマへの回帰なので、そう呼ばれても仕方ない面もあるのかな。
エウセビウス(司教)にエウビウス(宦官)(名前がややこしい!)。
彼らのユリアヌスを陥れようとする熱意には閉口します。
宦官たちが宮廷内を取り仕切っていた感があります。
ギリシアの学問を共に学んだゾナス、踊り子のディア。
彼らとの庶民的なやりとりが好きです。法廷に登場するディアに感動。
皇帝であった期間はわずか2年間。
ユリアヌスの政策が定着するくらい続いていたら、どうなっていたんだろうな。
タグ:辻邦生
これもまた、ずっと読みたいと思っていた本です。
by ike-pyon (2013-11-06 05:32)
ike-pyonさん、コメントありがとうございます。
面白かったですよ。おすすめです。
by あきえもん (2013-11-06 17:58)