阿片戦争 / 陳 舜臣 [国内作品]
全3巻。
歴史物を探していたときに、陳舜臣さんの名を見つけて読んでみようと思いました。
その中でも、初期のものからというのと、青木祐子さんの『上海恋茶館』で阿片の話題が出てきたので、この『阿片戦争』を最初に手に取った次第です。
阿片を取り締まっても、中毒者は多数いるもので、密輸は絶えない。
一目でわかる中毒者の風貌。
はじめは、清もイギリスも戦いは避けようとしていたらしい。
清の天朝意識がすごい。清は天朝であるから対等な国家はないという。
イギリスは貿易がしたいだけ。阿片は特に大口。
イギリスのヴィクトリア朝(突入したばかりだけれど)の繁栄は、こういう出来事もあったからこそなのか。
インドの支配もそうだよね。
連維材。店の金順記。解説を読んで架空の人物だと判明。
誰が主人公ということはないようだけれど、特別に挙げるとしたら、連維材のような気がする。
冷静な目で判断するというか見守る者として適切というか。先見の明もある。
西玲や黙琴・清琴といった女性たちも花を添えている。
西玲の弟の義譚は無茶しすぎ。実際身に返ってきているし。
政府の腐敗。報告は水増し等、都合のいいように改ざんするのが当たり前。
そんな中、林則徐は清廉で応援したくなる。
満州族と漢民族の分離政策。穆彰阿の工作に辟易。
道光帝は乾隆帝の孫。やる気のむらが激しい。
政府は、イギリスが北京に近づくと慌て、離れると再び強気になる。林則徐はそれに翻弄された。
日本人の石田時之助。日本人が登場することで、親しみがわくというか、関心が高まるものなんだな。
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